「哀しい予感」
ふと懐かしさから吉本ばななの「白河夜船」と「哀しい予感」を借りてきた。
何せ大層流行った人だから、当時一通りは読んでいて、その中で好きだった記憶のある2冊である。
読み返しておどろいた。
懐かしいとかもうそういうんではなく、昨日読んでいた本の続きみたいによく覚えていた。
(若い頃の記憶恐るべし)
それで、なんでわざわざここに取り上げるかというと、
吉本ばななの小説にでてくる男の人が、
BLで描かれる男性っぽいな!と思ったから!
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「君さっき、いつもの君を早回ししていたようだったよ。どうしていつもあんなふうに働かないの?」
と、彼はたずねた。受けをねらっていろいろな答えを考えたけれど、結局、
「バイトだから」
という言葉しか出てこなかった。
「よく、わかった」
と言って、彼はまたしばらくくすくす笑った。その低い声が私語を喋るときの清潔な響きや、きちんとした動作のまとまりに私は驚きつづけていた。今まで、彼のことなんか気をつけて見ていたことがなかったのだ。それから左手にある指輪にも気づいていた。でもそのことには触れずにお茶を飲んだ。彼が結婚していることに、本当はとてもがっかりしていた。
「白河夜船」 吉本ばなな著 新潮社 2002年 より抜粋
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少女漫画っぽいと言えないのは、少女漫画には既婚のスーツの男性はあんまり登場しないから。
とても微細な萌えポイントを詰め込んだ、現実にはいなそうな男性だなって思う。
いて欲しいけど。
記憶が正しければ、寂しいような終わり方をした気がするのでちまちま読んでます。