物語の効用
物語は自分の問の答えを求めに行くものだと思っている。
そういう意味で「ハイキュー!!」には、
成長し、成熟し、自分の足で立つことが、人生をよく生きるためのあり方だ、と確認しにいったようなところがある。
誰も病まず、依存せず、壊れない。
昨今めずらしい強い、つよい物語だった。
私自身は、あまり迷わない。めざすところも知っている。
ただ、今、時代が変わろうとしている。
今まで大事なことだと共有されていた価値観が崩れている。
「資本の増殖」以外は意味も価値も持たない。
そして、富むものも貧しいものも資本に魂まで包摂されていく。
そこで折れずに、抗い続けるために私には違う物語がいる。
なぜなら、今までやってきたことは周りの人達を幸福にしたけれど、私のやることは変わらないのに、この先だれにも喜ばれないかもしれないから。
ビックリハウスにいるようだ。
立っているところは変わらないのに、ぱたん、と背景が変わる。
「舞台 刀剣乱舞」にはこのトリッキーな感覚が凝集されている。
脚本、演出をされている末満健一氏は同時代人でもある。
上の世代と仕事をし、若い人たちを磨くなかで両者の心象を汲み上げ、どんな未来が可能だと考えるのか、わたしはそれを見届けたい。